ここでは消防署で23年間勤務した筆者が、どのようにして救急救命士になったかをお話したいと思います。この記事では、救急救命士という資格に興味がある方、これから救急救命士の資格取得をしたいけどどのような方法があるの?という方に向けに説明をしたいと思います。
救急救命士とはどのような資格か知りたい方は、こちらをご覧ください。
実は、私は消防に入った当初は救急救命士になりたいと思っていたわけではありません。消防車に乗ってバリバリ火事を消したいと思っていました。
ですが、救急車と消防車がセットで出動する現場(「PA連携」などといいます)で、救急隊員の支援を行う際に、傷病者や家族から感謝の言葉をたくさんもらい、「人を助けている」という実感が湧き「救急車に乗りたい」という思いが芽生えました。
救急車に乗るためには救命士の資格が必要か?
消防署で救急車に乗るためには、救急救命士の資格がなければ乗れないというわけではありません。
「え、そうなの?」と思う方がいるかもしれません。
そうなんです。東京では、救急車には、総務省が定めるカリキュラム「救急標準課程」という内部研修を修了した消防士なら乗ることが可能です。
私はそのパターンで内部研修を終えました。しかし、すぐに空きポジションが発生するわけではありません。しばらくは休暇や研修で抜ける先輩のリザーブとして時々救急車に乗り、それ以外はいままでどおり消防車に乗る、というパターンでした。
救急救命士になるためには
救急救命士になるためには、以下のような道があります。

引用元:Benesse マナビジョン
このうち、最もコストをかけずに救急救命士になれるのは、一番右端のルートです。私はこのパターンでした。高校卒業後消防へ就職、救急隊員となるための研修を経て救急救命士養成研修へ進むために必要な経験(救急標準課程を修了して5年または救急車の乗務2000時間以上)を積み、救急救命士養成研修の選抜試験に受かり研修所で研修を受け、国家試験合格、と進む道です。これなら消防職員として給料をもらいながら勉強でき、また救急救命士養成研修も給料をもらいながら受けることができます。唯一、国家試験の受験料は自分で払わなければなりませんでした。
次に、救急救命士養成研修についてです。東京では、渋谷区にある消防学校で研修を受けるパターンと、八王子市にある救急救命東京研修所(通称「エルスタ東京」)で研修を受けるパターンがあります。前者は自宅からの通学、後者は全寮制での研修となります。消防学校では、クラスメイトほぼ全員が東京消防庁の職員です。対してエルスタ東京では全国の消防本部から集まった消防士と一緒に研修を受けます。私の印象では、家族を持っている人は消防学校、独身の人はエルスタ東京で研修を受けている事が多かったです。研修期間はいずれも7か月となります。研修期間中に国家試験を受験できる研修期間もあれば、研修後国家試験までしばらく時間が開くため、消防署に戻り仕事をしながら自主学習を続け、国家試験を受ける人もいました。エルスタ東京の場合は、自主学習の期間中に学習サポートとして定期的にミニテストを送信してきていたりしました。
どちらの研修に行っても、研修中は消防署を離れて授業と訓練に専念できます。もちろん職務として研修を受けるので、基本給は支給されます。私は独身時代に研修を受けたのですが、周りの同期生で家族や住宅ローンを抱えている人は、研修中は持ち出しになってしまうことを想定してある程度の貯金を作っている人もいました。
私の考える、救急救命士のこれから
このようにして国家試験に合格すると、晴れて救急救命士として働くことが可能です。
近年は、私の肌感では、東京で消防へ採用される前に救急救命士養成課程のある大学や専門学校を卒業してから入庁する人も多いと感じていました。
また、ここまで読んでくださった方なら想像できたかもしれませんが、他の医療職(看護師など)は先に就職してから資格を取る、というパターンはないかと思います。そういう意味で、養成コストを組織内(=税金)で負担することに世論が反対となれば、消防内部での養成パターン(上図の右半分)は、将来なくなってしまい、消防へ採用される前に資格を取るパターンだけになってしまうかもしれません。
その一方で、2021年10月に法律が改正され、救急救命士は医療機関内でも業務を行う事が出来るようになりました。病院の外でも、病院の中でも活躍出来る可能性のある救急救命士は、様々な活躍の場が広がる事も考えられます。院内とプレホスピタル両方の経験を持った救急救命士はとても重宝されるかもしれません。

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