20年以上公務員として働いた私がやめたきっかけ

この記事では、公務員(消防士)として20年以上働いた私が、なぜ退職した(外に出た)のかについて記述したいと思います。

結論から言いますと、公務員で居続けるメリットとデメリットを比べて、デメリットの方が大きいと感じたからです。消防士という仕事は地域の方に愛されるとても良い仕事でした。決して嫌いだから退職したのではありません。

目次

公務員のメリット

公務員でいることのメリットは、なんといっても安定です。基本的に給料は年功序列で、勤続年数を重ねれば必ず伸びます。これは、消防士でも同じです。その分、採用されてから最初の数年は、給料が低いな、と感じることもあるかもしれません。また事務で多くの実績を出しても、給料はほぼ変わりません。

私が東京消防庁に採用されたころは、若い職員は、採用前に結婚していたといった理由がない限り、必ず単身者向けの寮へ入ることが義務でした。これは、地震や風水害時に召集されるマンパワーを確保するためでもありました。その見返りとして、寮費は周辺物件の家賃と比較してとても安いものでした。さらに、私が寮にいた約20年前は、寮母さんがいて朝食と夕食は作ってくださいました。独身のうちは、こうしたものを最大限に利用して貯金することができました。

さらに、私は入りませんでしたが、家族世帯向けの寮もあります。こちらも、災害時に優先的に召集されることになりますが、立地の周辺物件の家賃と比較して安い住居費で済みます。私の同僚には、家族寮で住居費を抑えて貯金し、子供の小学校入学前に家を買う人が多かったです。

あくまで東京のケースですので、すべての消防本部にこのような宿舎が用意されているものではありません。また東京都庁に努める知人から聞いたところでは、都庁にも同じような宿舎があるということでした。こういった制度を利用して、固定費を抑えて貯蓄をすることができるのも公務員の大きなメリットになると思います。

ふたつめのメリットです。消防士に限らず公務員の仕事は、根拠となる法令に基づくものが多いです。したがって法令文を読む機会が多くなります。複数の法令を体系的に理解したり、法令文特有の言い回しなどに触れる機会も多いので、文章の理解力が高まります。私自身は問題解決にあたって法令を調べること(最初にどのジャンルの法令に取り付けばよいのか、などのあたりを付けるめんどくささ)に心理的なハードルが低くなりました。

3つ目のメリットですが、生活力が付くことです。消防士はシフト勤務のため、当直があります。また常に出動に備えるため、食事のために外へ出たりすることもできません。食事は持ち込むか、食事当番を交代で行い賄いを調理することが多いです。制服にアイロンがけを行うこともあります。そういったことを通じて一人暮らしに必要な生活力が自ずと身につくというメリットがありました。私自身、料理はあまりやらないほうでしたが家族に食事を作って出すことぐらいは普通にできるようになりました。

公務員のデメリット

次に私が感じていた公務員のデメリットです。それは、スペシャリストになるための経験を蓄積することが難しい、ということです。ネットやいろいろな方のブログで「公務員は異動で全く異なる分野の業務を次々と任せられる」といった記事を見かけた方もいると思います。

「消防士って、消防士意外のことやるの?」と思われるでしょうが、やることもあるんです。いわゆるバックオフィス業務です。それまでホースを持って火を消していた人が、突然本部勤務になり、給与計算やネットワーク整備、装備品の調達に関する事業を担当する人になる、といった人事異動もあり得ます。どんな組織もそうですが、大きくなるとバックオフィス部門にもマンパワーが必要になります。基本的に外から人材を迎え入れるのではなく、組織内にいる人材を登用するのが公務員の世界です。消防も公務員ですのでそのような異動が発生する、ということです。

特に昨今、国(総務省)が主導して消防の広域化が進められています。広域化すれば、当然職員の数や扱う予算額は増加しますので、それに比例してバックオフィスに必要なマンパワーも増加します。これまで「俺はレスキュー隊員になりたい!」「救急救命士として人の命を救いたい!」と話していた同僚が、施設担当者となり壊れた消防署のトイレ修理を手配するといった業務がメインとなり覇気をなくしている姿も見てきました。また自分自身も、今振り返ればプラスと捉えているものの、当初は「なぜ自分がここに?」と思いながら勤務していた部署もありました。

ここまでデメリットを書きましたが、デメリットも捉え方次第でメリットになることもあると思います。経験を蓄積することが難しいと書きましたが、裏を返せば様々な業務を経験できるということです。今の担当業務と前の担当業務が一見関係ないように見えても、調べていくうちにお互いに影響しあっている部分が発見できたりします。また、何か業務を進めていくうえで、前の担当業務時代の同僚に根回ししやすくなったり、お互いに業務改善と提案しあったりということへのハードルが下がります。その時々の担当業務を、やっつけ仕事にせず取り組むことで色々なところでつながっていきます。これはなにも消防士や公務員の世界に限ったことではないと思います。

では私はなぜ公務員を辞めたか?

私は約20年間消防士、公務員として働きました。辞めた理由として、

  1. メリットの項で述べた安定のおかげである程度の蓄えができたこと、
  2. 文書の理解力を他へ応用できるという自信がついたこと
  3. デメリットである、頻繁に異動させられることがこれ以上自分にとってメリットに変換できないと思ったこと

があります。

退職や転職にはある程度の貯金があったほうが良いと思います。よく生活資金半年分などと言われますが、資金があるとないとではまるで心の余裕が違うと思います。また、文書の理解力はついたので、次は発信力を付けたいと思いこのブログをはじめてみました。3つ目の理由については、おそらくこの先の異動では、自分に納得して全力で取り組むモチベーションを保てる業務には付けない可能性が高いと思いました。それであればたとえ収入は下がっても、自分の得意なことを生かせて心からやりたいと思えることをやろう!と考えました。

冒頭でも述べましたが、消防士という仕事は、地域の方に愛され、また人命の尊さを肌で感じる仕事です。個人的には、公安職の中でも「正義の味方」に最も近い仕事だと思っています。

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この記事を書いた人

アラフォー共働き子供3人。18歳高卒消防士→仕事の傍ら大学夜間部卒業→救急救命士取得→救急車の隊長→出向で某メガスポーツイベント中の人→時短勤務日勤→2023年6月退職。半分主夫。公務員という世界から『外に出た』のでブログSNSで発信中。

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