救急車に20年以上乗ってきた私が知ってほしい、救急現場ですぐに役立つ3つのコミュニケーションスキル

私は23年間消防に勤務しましたが、消防隊との兼務も含めて21年間救急車に乗りました。その経験を通して意識して使っていたコミュニケーションスキルのうち、これは必要と断言できるものを、具体的に3つ紹介したいと思います。

目次

この記事を読んでもらいたい人

この記事をぜひ読んでもらいたい人は、

  • これから救急車に乗務する機会がある人
  • 現場で傷病者とのコミュニケーションが上手く行かず悩んでいる人
  • 隊員にどうコミュニケーションスキルを教えてたら良いか悩んでいる隊長

なぜ3つのスキルが必要か

これから書く3つのスキルが必要な理由を述べたいと思います。

救急現場は、時間との勝負です。時間の節約のためには症状や状況の聴取に使う時間は短いに越した事はありません。そのためには、相手との信頼関係を築き、聴取にかける時間を最小限にすることが重要です。そうすることで処置や搬送にいち早く取り掛かれます。ですが、意外と現場で見かける他の救急隊員には実践していないなと感じる人が多かったです。

3つのスキルとは

新人救急隊員
新人救急隊員

これから始めて現場に出るから緊張するな。活動がスムーズに進むコミュニケーションスキルが欲しいなあ。

Hirahira
Hirahira

これから話す3つを意識してみて。きっとうまく行くから。

  1. 相手で言葉を変えない
  2. 少ない言葉でより多くの情報を引き出す
  3. 答えがYes/Noになる質問をする

私は現役救急隊員時代、いつもこの3つを意識していました。また部下や新人隊員への教育でもこのことを繰り返し教えていました。ひとつずつ解説していきたいと思います。

3つのスキルの説明と具体例

相手で言葉を変えない

新人救急隊員
新人救急隊員

「おばあちゃん、大丈夫ですか?」っていつも呼びかけてますが…

よく現場で、高齢の女性に対して「おばあちゃん、~~」と声をかけている事があります。これはNGだです。その傷病者はあなたの祖母ではありません。ではなんと呼びかけるのか。名前です。「〇〇さん」と普段始めて会う人との会話をするのと同じで、相手に敬意を払って話しかければよいと思います。

私の知り合いで、研修でアメリカの救急車に乗ったことがある方がいますが、アメリカの救急隊員も現場では、「Sir」と呼びかけるケースが多いと聞きました。

「おばあちゃん」という言葉には「あなたは高齢者ですよね」というニュアンスが含まれてしまいます。救急の現場では、傷病者が救急隊員に構えてしまえば、そこに壁ができてしまいます。そうなるとその先うまく情報を引き出せなくなってしまいますので、やはり相手に尊敬を込めて名前で呼ぶことが必要だと考えています。

また、幼い子供の傷病者に対して赤ちゃん言葉を使っている場面も見かけましたが、これも必要なく、成人に対応する言葉遣いで良いと思います。ただ、相手の年齢に応じて、子供が理解しやすい言葉を発することは大事です。

少ない言葉でより多くの情報を引きだす

出動指令が入り、現場へ向かう救急車の中からすでにコミュニケーションは始まっています。現場へ向かいながら通報のあった電話番号に電話をかけ、状況を聞き取る救急隊も多いと思います。

例えば、「具合が悪い方の年齢と性別を教えてください。」と質問する人を良くみましたが、「具合が悪いのはどなたですか?」と聞いてみてください。そうすれば、もし家族が電話に出ていた場合は「夫です」などの答えが返ってくると思います。その回答には

  1. 傷病者は男性である
  2. 電話に出ているのは傷病者の妻である
  3. 現場に家族がいる

という3つの情報が含まれます。このように、1回で複数の情報が得られる質問の仕方を意識して工夫すると、短い時間で必要な情報を収集できます。現場に家族が居るか居ないかで、その後の活動は大きく変わります。それがいち早く分かれば、現場に着くまでに、着いてからの行動をイメージできると思います。

答えがYes/Noになる質問をする

先ほど出てきた「具合が悪い」ですが、きわめて漠然とした表現です。その時、「どういう風に具合が悪いのですか?」と尋ねる人も良く見かけました。

傷病者は、あわてており、かつ体験したことのない体調変化で救急車を呼んだのかもしれません。つまり、自分の状態をうまく表現できない状態であることが多いです。そういう時は、「どのように具合いが悪いのですか?」などと問いかけると、回答が冗長になることが多いです。長い上に5W1Hがはっきりしない会話になりがちなので、取りたい情報を取れるまでに長い時間がかかります。救急現場では時間をかけ過ぎないことも大事です。

「お腹が痛みますか?」や「立つとふらふらしますか?」など、答えがYes/Noになる質問をして、徐々に症状を絞り込んでいってください。こういった質問は「クローズドエンドクエスチョン」とも呼ばれます。症状を短時間で的確に聞き出すには、この「クローズドエンドクエスチョン」が効果的ですので、ぜひ意識してみてください。

コミュニケーションスキルの重要性

再度、上記に書いた3つのスキルが重要な理由を述べたいと思います。

救急現場は、時間との勝負です。時間の節約のためには症状や状況の聴取に使う時間は短いに越した事はありません。そのためには、1.のスキルで相手との信頼関係を築き2.と3.のスキルで聴取にかける時間を最小限にします。そうすることで処置や搬送にいち早く取り掛かれます。

私は20年以上救急車に乗りましたが、現場での接遇(≒コミュニケーション)で苦情を受けた事はなく、反対にありがたいことに感謝の手紙や電話は10件以上頂いたことがあります。頂いた手紙はまだ自分のモチベーションのために大事に取ってあります。

まとめ

ほとんどの人にとって、一生に1回あるかないかという救急車を呼ぶという事態は機が動転することに違いありません。ここまで読んでくれたあなたは、この記事に書いた事を実践してもらえれば、きっと傷病者や家族から頼もしく思ってもらえる救急隊員・救急救命士になれるはずです。

私も何も見聞きせずにここまで考え方を固められた訳ではありません。様々な本を読み、先輩からも話を聞きました。

以下の本にも基本的な接遇の心掛けとして必要な事など、役にたつ事が書いてあります。自分でも読み、後輩にも貸しました。

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この記事を書いた人

アラフォー共働き子供3人。18歳高卒消防士→仕事の傍ら大学夜間部卒業→救急救命士取得→救急車の隊長→出向で某メガスポーツイベント中の人→時短勤務日勤→2023年6月退職。半分主夫。公務員という世界から『外に出た』のでブログSNSで発信中。

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